お米は慣行農業で作られているものが主流ですので、無農薬で作られた玄米やお米は、とても希少なものです。無農薬の玄米やお米を作る農法には、有機農法や自然農法、自然栽培、合鴨農法などがあげられます。
その中でも「合鴨(アイガモ)農法」は、JAが取り組むなど、今も注目される無農薬農法になります。この記事では、そんな合鴨農法のデメリットやメリット、かかる費用について解説します。また、合鴨農法で作られた玄米やお米について紹介しますので、最後までお読みいただければ幸いです。
合鴨農法とは
合鴨農法とは、水田にアイガモを放して雑草や害虫を食べさせて駆除することによる有機農業の一種です。アイガモの糞は肥料にもなり、稲の成長を促進します。
また、アイガモは稲穂が出る前に田から引き上げられ、食肉として利用されます。このように、米作りと畜産を同時に行うことができる複合農業とも言えます。
合鴨農法は、農薬や化学肥料を使わないため、環境に優しく、お米の本来の味や香りを楽しめます。また、アイガモが水田にいる様子は観光客にも人気で、地域の活性化にも貢献しています。
合鴨農法のデメリットとメリット
合鴨農法には、以下のようなデメリットとメリットがあります。
デメリット
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アイガモの飼育には手間とコストがかかる
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アイガモの逃亡や外敵の侵入を防ぐために柵やネットなどの設備が必要
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アイガモがすべての雑草や害虫を駆除できるわけではない
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アイガモが稲穂を食べてしまう可能性がある
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アイガモを食肉として処分することに抵抗がある人もいる
効果やメリット
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雑草や害虫の駆除により、農薬や化学肥料の使用を減らすことができる
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アイガモの糞が肥料となり、稲の根や茎を強くすることができる
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アイガモが水田をかき回すことで、土壌の酸素や水分の循環が良くなる
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アイガモが稲の株を刺激することで、株張りが良くなる
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アイガモを食肉として利用することで、収入の向上や食の安全性の確保ができる
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アイガモが水田にいる様子が観光資源となり、地域の活性化につながる
合鴨農法のやり方:全体の流れ
合鴨農法を実践するには、以下のような流れになります。
- アイガモのヒナを購入または自家繁殖する
- アイガモのヒナに水浴びや給餌などの飼育管理を行う
- 田植え後、稲が十分に成長したら、アイガモのヒナを水田に放す
- アイガモのヒナに補助飼料を与えながら、水田の管理を行う
- 稲穂が出る前に、アイガモのヒナを水田から引き上げる
- アイガモのヒナを肥育し、食肉として処分する
合鴨農法にかかる費用
合鴨農法にかかる費用は、以下のようになります。
・合鴨の値段:ヒナと成鳥
合鴨の値段は、ヒナと成鳥で異なります。ヒナの場合は、1羽あたり300円~500円程度です。成鳥の場合は、1羽あたり1000円~2000円程度です。水田の広さにもよりますが、一般的には10aあたり15羽~30羽のアイガモが必要です。したがって、合鴨の購入費用は、4500円~30000円程度になります。
合鴨農法にかかる費用の概算
合鴨農法にかかる費用は、合鴨の購入費用のほかに、補助飼料や設備などの費用があります。補助飼料は、1日につき1羽あたり100g程度で、1kgあたり50円程度です。設備は、柵やネットなどで水田を囲う必要がありますが、これは再利用できるため、初期投資として考えます。
設備費用は、水田の広さや形状によって異なりますが、10aあたり5000円~10000円程度とします。また、アイガモを食肉として処分する場合は、屠殺費用や運搬費用などがかかりますが、これは収入に対する経費として考えます。したがって、合鴨農法にかかる費用の概算は、以下のようになります。
- 合鴨の購入費用:4500円~30000円
- 補助飼料費用:2250円~15000円
- 設備費用:5000円~10000円
- 合計費用:11750円~55000円
かわいそうだけど合鴨は最後は食べる
合鴨農法では、アイガモは最後に食肉として処分されます。これは、アイガモを野生に放すことが禁止されているためです。
また、アイガモは米作りに貢献した命であり、その恩返しとして食べることは、牛肉や豚肉などと同じだと考えられます。
アイガモは、鴨肉として美味しく食べられるだけでなく、骨や内臓などは肥料や飼料としても利用できます。アイガモを食べることは、命をいただいていることに気づかせてくれるという意味でも、合鴨農法の大切な一部です。
合鴨農法に革命!アイガモロボットの登場
合鴨農法には、多くのメリットがありますが、デメリットもあります。そこで、合鴨農法のメリットだけを実現するロボットが開発され始めています。
「食べるのがかわいそう」といった声もあるため、アイガモロボットのこれからに期待しましょう。では、アイガモロボットの紹介動画を3つご覧ください。
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合鴨農法で作った無農薬玄米がこれ!
合鴨農法で作った無農薬玄米は、一般的な玄米とは違います。合鴨農法で作った玄米は、アイガモの糞や自然の肥料で育てられたため、栄養価が高く、香りや味が豊かです。
また、合鴨農法で作った玄米は、農薬や化学肥料を使わないため、安全で安心です。合鴨農法で作った玄米は、白米にするともちもちとした食感が楽しめますし、玄米のまま食べるともっちりとした食感が楽しめます。合鴨農法で作った玄米は、お米の本来の美味しさを味わえる逸品です。
最後に
合鴨農法は、アイガモと稲との共生によって、環境に優しく、お米の美味しさを引き出す有機農業です。合鴨農法には、デメリットもありますが、メリットも多くあります。また、合鴨農法には、アイガモロボや無農薬玄米などの革新的な取り組みもあります。合鴨農法は、日本の伝統的な農業として、今後も注目されるでしょう。
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